サンビオティック体験記

イチゴ「萎黄病」を乗り越え、一気に躍進!

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佐賀県は「さがほのか」を中心にイチゴ栽培の大変盛んな地域です。
そして、福岡「あまおう」に負けじと、努力家の多い地域です。
有力県に挟まれて、根気強く農業を続けてきた人たちが多いからかもしれません。

そんな中で、ここ2、3年、毎年のように病気に見舞われ、なかなか成果を出せない生産者がいらっしゃいました。
右の写真の山口さんです。

あるとき、JA指導員の方からお電話がありました。
「一度、山口さんの畑ば見てもらえんですか?萎黄病とか病気が多くて困っとるとです。菌力アップで、何か良か方向に行かんでしょうか?」

JAの指導員さんが、わざわざ電話してこられるとは、相当に困っていらっしゃるのだろうと心配になりました。なんとか時間をとって、早速、お伺いしたのは昨年の夏でした。
JA指導員の方と同行した山口さんの圃場では、ちょうどイチゴの育苗をしているところでした。

「毎年さ、萎黄病の出るとよ。そいで、苗のバタバタ行くもんね。」

そう言う山口さんの表情からは、イチゴ作りの難しさがにじみ出ていました。

萎黄病の原因はいろいろと考えられますが、お話を聞いたところ、山口さんの圃場では、設備面や消毒面では大きな問題はありません。やはり、根の張りが悪い事や、微生物への注意不足が、病気に関係しているように思いました。

「まずは、菌力アップをやってみてください。微生物相が良くなって、根の張りが良くなれば、病気の抵抗性は、上がるはずです。

早速、山口さん親子に使用方法を説明しました。ご説明し、育苗期間中、菌力アップの潅水を試してもらうことにしました。

しばらく経ち、9月ごろです。圃場を訪ねてみました。すると、山口さんのお母様が駆け寄ってきました。

「菌力さん、よう来たね!あんたのお陰で、今年は病気のいっちょん(全然)無かとよ!ほんて、こがんことのあっとね!(こんなことがあるのね!)」

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早速、若苗を見に行くと、そこには、病気がほとんど見当たらず、立派に育った苗が生き生きと育っていました。

「これは良かったですね!確かに、葉のテリも出て、根が良く張ってきてるようですよ!」

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昨年の夏は、九州は猛暑、そして干ばつ。例年に増して、管理の難しい条件の中で、毎年の課題であった萎黄病が、ほとんど出ていなかったのです。

「この調子なら、信じられるばい。本圃もサンビオティックでやるけん!」

これまでにない、自分の育てたイチゴの生き生きとした姿に、否が応でも、山口さんの農家魂が燃えます。
山口さん、本圃では、菌力アップのほかに、糖力アップコーソゴールドなど一気に、サンビオティック資材を導入することにしました。

その後、山口さんは圃場に植えたイチゴの生命力に、さらに驚くことになります。どんどんたくましく、美しく育つ姿には、見とれるほどでした。

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「不思議かね。いつも出るうどんこ病も、なぜか出らんし、とにかく生育が今までと全然違うよ。」と、山口さんの顔には、満面の笑顔が溢れます。

植物の力の根源は、やはり根である、ということが良くわかる事例です。

菌力アップの、多種多様な微生物が、微生物相を整え、病原菌の繁殖を防ぐとともに、微生物が有機物を食べながら、様々な有用物質を出すため、植物への活性作用が働き、発根が順調に促されたのでしょう。

「今年はね!今のところ地元じゃ、よその1.5倍は出荷しよるよ。現時点では、収量は去年の3倍はあがっとるやろうね!本当に信じられんよ。サンビオティック資材は、素晴らしかよ!他と比べても、安かし、効果は絶大やもんね!」と山口さん。嬉しそうな山口さんを見ると、こちらも嬉しくなります。

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さらに付け加えて、興味深い話があります。たしかに山口さんの言う通り、イチゴはとても素晴らしい生育です。
実は、後で知ったことですが、この圃場の不調の原因の一つは、鉄分の多い水だったのかもしれないのです。

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写真の通り、その水は土の上に、サビが出て赤くなるほどの鉄分です。

一見すると、鉄分が豊富で良い水だと思うかもしれませんが、実はそうではありません。
鉄が多い圃場で良くあることですが、鉄は重要な肥料成分であるリン酸と結合し、リン酸を不可給態、つまり吸収できなくしてしまう性質があるのです。

おそらく、この圃場では、この鉄分の多すぎる水のせいで、リン酸が効かず、イチゴは病気に弱くなり、根の張りを悪くしていたのです。

このような圃場で、微生物をどんどん流し込むと、有機物を分解しながら、微生物の産出する有機酸が、石のように固まってしまったリン酸鉄を分解し、リン酸や有機酸鉄などを吸収したイチゴが、一気に良い方向に変わってしまったと思われるのです。

さらに、リン酸を供給するため、今ではコーソゴールドを3日おきに煙霧機で葉面散布をしています。これが、絶大な効果を発揮して、花は途切れることなく咲いています。

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「生育の早(はや)か!周りの農家より、花の一回多かとよ。糖力アップで肥大は良かし、言うことなしやね!」

今年は6番花までしっかり取りそうな勢いの山口さん。今年は、サンビオティックに初挑戦し、みごとに大きな手ごたえと自信を得た素晴らしい作柄になりました。

※本記事は、サンビオティック農業通信第25-0212号記事を加筆修正したものです。