サンビオティック体験記

微生物の土壌団粒化に、お父さんが驚いた!

粘土質土壌の土壌団粒化のポイントは

熊本県八代市で馬鈴薯などを親子で栽培しているTさんをご紹介します。Tさん親子は、お父さんの長年の農業の勘を頼りに、若き後継者も熱心に勉強しています。

Tさんが農業を営む八代平野は、もともとは有明海に広がる干潟の場所で、干拓によりつくられた畑です。
そのため、非常に細かい粘土が多量に含まれた土壌で、雨が降って乾くと、ガチガチに固まってしまうような土でした。そんな土でこれから農業を営んでいこうという後継者にとっては、この土の改良というのは、まず最初の大きな仕事かもしれません。
息子さんは、いろいろな勉強をしたり、いろいろな人から話を聞いたりしたそうです。

あるとき、サンビオティックのうわさを聞いて、興味を持った息子さんは、私どもに相談をしてこられました。
こんな粘土質の土壌でも、ふかふかの土に変える方法はあるんでしょうか?

土壌団粒化の方程式

私どもが、まず始めにご説明したのは、「土壌団粒化には方程式がある」ということです。
方程式というと、皆さん興味を持ちます。そうです、土壌団粒化には条件があるんですね。

その方程式とは、、、、
土壌団粒化=有機物+微生物
というものです。

適切な時期に、有機物と微生物の条件がそろえば、土壌は団粒化しますよ、ということです。
適切な時期というのは、適度な温度と水分がある時期です。
つまり、微生物の活性が高い時期に、土壌改良を行うのが良いということですね。

息子さんの思い切った行動

話を聞いた息子さんは、早速土壌改良に微生物を使いたいということを、お父様に話されました。
「サンビオティックの菌力アップという微生物は、とても土づくりに良いらしい。」と、ありったけの知識を武器に話したのです。

しかし、お父さんも長年の農業の経験があります。いろいろな資材を試し、酸いも甘いも知っているからそうは簡単に信じません。お父さんは、八代平野の土壌が、微生物くらいで変わるものじゃないと経験で知っているのです。
息子さんの話に興味はあったものの、すぐには信じられません。

いろいろと話を聞いた末に、菌力アップを使いたいという息子さんに「そんなもの(菌力アップ)にお金を使うのはもったいない」と言ったそうです!

しかし、息子さんの決意は固かったようです。もう自分の責任でやろうとおもい、思い切って菌力アップを購入し、やってみることにしたのです。

やり方はこうです。まず、雑草や前作残渣が残る中、菌力アップ10L/10aを水に希釈して散布し、トラクターで耕します。2週間ほどそのまま養生して、また菌力アップ10Lを散布して耕耘したそうです。たったこれだけです。

驚くべき、微生物の力!

すると、効果は驚くべきものがありました。
実は、まずそれに気づいたのはお父さんです。トラクターを耕したお父さんは、びっくりしました!

土が生き返ったごたる!こんなことあるとね!

お父さんが、トラクターを入れた瞬間、ものすごく土が変わっていることに気が付いたというのです。
ガチガチだった土が、ふわふわの絨毯を歩くように、足が沈み込みます。

「土がふかふかして、とても作業がしやすくなりました。特に、畝たてがスムーズに行くんですごく感激しましたよ。」とニコニコしてその時の感動を教えてくれました。

まさか、こがん(こんなに)柔らかくなるとは思わんやったですよ。」と、少し恥ずかしそうに打ち明けてくれました。息子さんも、思い切ってやった甲斐がありましたね!

土壌団粒化の適期と仕組み(メカニズム)は?

Tさんの事例は、面白いです。何が面白いかというと、なんと冬にこの作業をして土壌団粒化してしまったことです。
春じゃがの植付け前のことですから、まだ寒い時期だということがわかると思います。

これは、少しイレギュラーなことだと思います。通常は、暖かい季節、つまり微生物が動きやすい時期に作業することで、団粒化を促進していきます。しかし、今回は寒い時期でもできてしまいました。

これは、一つは暖冬であったことが幸いしたと思います。ちょうど昼間にホカホカする陽気が数日続きました。
また、もう一つの要因は、きっといままで畑に投入してきたであろう有機物がかなり蓄積していたのだと思います。ですから、菌力アップをやると、一気に微生物が繁殖し、こんなにすごい事が起こったのだと思います。

土壌団粒化というのは、土壌に含まれる粘土と有機物が、微生物が繁殖し活動する中で生産する糊のような物質で絡まり、土壌の粒子が徐々に大きくなり、大小の団粒(ミクロ団粒やマクロ団粒)ができるということです。

理想を言えば、有機物には新鮮で、分解しやすい米ぬかや枯れ草や作物残渣などと、少し分解しにくい落ち葉やもみ殻、稲わら、麦わらなど、いろいろな種類が多く含まれているほうが良いです。
このように多くの種類、硬さの有機物があれば、それをエサにする微生物の種類も多くなるからです。

微生物は好気性微生物でなければなりません。菌力アップに含まれている放線菌をはじめ、もともと畑の土壌に多い糸状菌(カビの仲間)やバチルス菌などが活躍し、有機物を分解しながら、ものすごい量の菌糸を張り巡らせて行きます。また、多くの微生物が自らの身を乾燥から守るため、また有機物(エサ)を分解するために、粘着性の糊のような物質を産生していきます。

このように、微生物の菌糸が、生まれたり、死んだりを繰り返しながら網の目のように広がり、粘着物質でくっつけたり分解したりしながら、土壌粘土と有機物をごちゃまぜにして団粒を作っていくのです。微生物の仕事は、本当にすごいですね。

土壌の団粒構造が、植物生育の根本

団粒構造というのは、とても面白い現象ですね。団粒化が発達した圃場では、通気性が良く酸素が多い土になります。また、大雨が降ったときなどにも、すっと水が引いていくので、根が傷みません。さらには、栄養分を保持して、根に供給しやすくしてくれる役割もあります。

まさに、土壌の団粒構造が、植物が健康に育つための根本!根元(ねもと)なので、根本(こんぽん)ですね!

基本は、暖かい時期の作業です。でも今回の事例のように、すこし寒い時期でも、少しでも暖かいタイミングをつかめば、冬でも土壌団粒化ができます。たとえば、マルチなどを使って地温を上げることができれば、冬や春でもこのような作業をすることができます。栽培が終わって、次の作付けの準備をするときが、土壌団粒化のチャンスです!
ぜひ皆さんも、前作残渣をすき込むときは、団粒化のための菌力アップを実践してみてください!