発根がすべての基本。菌力アップを高品質みかんの栽培に活かす!

豪雨災害の翌日、、、みかんの畑は無事?

「マジでやばい!ひどか雨やったですね!!」

 長崎県で先進的なみかん作りをしているHさんのことが心配になり、圃場に伺ったのは、7月8日。実は、その前日と前々日のたった2日間で、なんと290ミリもの雨が降った直後でした。

 畑では、あちこちで石垣が崩れていました。普段温厚なHさんも、見たこともないような濁流が畑の脇を流れているので、さすがに恐怖を感じたそうです。長崎だけでなく、今年の梅雨は全国的な大雨です。特に線状降水帯という集中豪雨に当たると、想像を絶する水の量が襲い掛かってきます。

「さすがに、命の危険を感じるよね。異常気象には困ったものだよ。」という言葉が、あちこちで話題に上っています。

IMG_1538.jpg

 しかし、Hさんの畑は、あれほどの雨が降った後なのに、翌日には普通に入れる水はけのよさです。本当に雨が降ったのか、という感じです。石垣のだんだん畑とはいえ、もともとは、赤土の粘度の混ざった土壌です。やはり、土づくりで団粒構造ができていることが、水はけのよさの理由でしょう。

 Hさんと畑を歩いてみて、目に飛び込んできたのは、地表が削られてしまった様子でした。ものすごい雨が、土をもっていってしまったのでしょう。地表の一番大切なところが流されてしまっていました。しかし、よく見ると、そこにはむき出しになったミカンの根が。それは、おびただしいほどの根の量です。白く、ち密な細根がびっしりと張っていて、土を捕まえてくれていました。

流れされて見えた、驚くほどの発根が露わに!

IMG_1596.jpg
IMG_1595.jpg

IMG_1539.jpg
IMG_1541.jpg

「それにしても、すごい根の量ですね!」と話しかけると、

「そうですなんですよ。ここに菌力アップが役に立っていますよ。私も、これだけ根が張ってきているっていうことが、土が流れてみてよくわかりましたよ。これが、みかん作りの基本ですから、間違ってなかったなと思います。発根が悪いと何をやっても駄目ですからね、菌力アップは大事ですよ。」とHさんは答えてくれました。

土づくり重視のこだわり減農薬、少肥料栽培

 Hさんのみかん作りは、とても変わっています。何が変わっているかというと、それは肥料がとても少ないことです。それも、驚くほど少ないのです。私が、これまで見てきた農家さんの中でも、最も施肥量が少ない栽培体系です。

 Hさんが、年間に施用する窒素量(成分)は、なんと10a当たり5キロ程度しかやっていないというのです!

 おからなどを菌力アップで発酵させた自家製のぼかしを中心に、ほとんど春肥のみの施肥設計です。あとは、生育を見ながら葉面散布で補っていきます。これには、驚きました!ふつうの考え方では実践できないやり方です。

 もちろん、肥料代をケチって減らしているわけではありません。意図的に、窒素肥料を減らして、高品質、安定生産を実現しているんですね。

 その違いは、葉色を見れば一目瞭然です。同じ品種でも、隣の農家さんのみかんの樹は、黒々としていますが、Hさんの樹は、色が全く違います。これで大丈夫なのか、心配になるほどです。

IMG_1619.JPGHさんの園地
IMG_1567.jpg他農家さんの園地

「そんなに(肥料が)少なくて、みかんは毎年なるんですか?」

「これでいいんですよ。見てください、今年は一般の畑は、生理落果がひどくて、みかんがあんまり付いていないでしょう。うちのみかんは、まだまだ摘果しないといけないくらい、良く成ってますよ。着果ホルモンがでてるから、毎年ちょうどよく成るんですよ。」

 Hさんは、ホルモンバランスの管理に特に注目しています。切り上げ剪定という剪定法で行う事で、サイトカイニンやオーキシンなどのホルモンの流れが良くなり、樹がもっている本来の樹勢や働きが高まるります。そのため、むしろ肥料を少なくした方が、花数が安定し、品質が良くなるんですね。

 

 植物生理を本当によく理解して栽培していると感心しました。普通なら、肥料に頼るところ、Hさんは剪定の仕方、草の生やし方、肥料のタイミング、それらを総合的に考えて、少ない肥料で収量を安定させ、品質を最大化させる方法をとっているんですね。根とホルモンコントロールで育てているという意識が伝わってきます。

IMG_1554.jpg

IMG_1635.jpg

異常気象、温暖化に強い柑橘栽培


 Hさんの圃場には、下草がびっしり生えています。草生栽培と言っていい状況で、除草剤は数十年もほとんど散布していないそうです。少ない肥料(窒素)で済む理由も、このへんに理由がありそうです。園内に生育したこの草が有機物となり、それが微生物を育て、土の中には多くの窒素固定菌が活躍していることが想像できます。窒素固定菌は、通気性が良く、窒素肥料の少ない畑では増えやすく、10aあたり5~10kgもの窒素を生み出していることもあります

 そしてさらには、この20年近く、ダニ剤をほとんどやっていないというから驚きです。これも、下草や有機物の豊富な畑では、いろいろな微生物や昆虫などが増え、生態系が形成されて、ダニの天敵が増えるからだと思います。

 Hさんの畑は、みかんの畑でありながら、まさに『自然の森』のような生態系や生物多様性を形成しているのかもしれませんね。

IMG_1553.jpg
IMG_1622.JPG

 「毎年収量は3トン以上は取れますし、みかんが腐れにくいんですよ。糖度もまあまあで、いつも長崎県のトップブランドのみかんに行ってますよ。」と、品質にはHさんも自信満々です。

 それもそのはず、毎年味見させていただくHさんのミカンの味は、本当に絶品です。糖度で表すのはバカらしくなるくらい、深い味わいと後を引くうま味があります。糖度はもちろん、長崎県のトップブランドを軽くクリアーするレベルです。


 「そのためには、『菌力アップ』は大事なんですよ。やっぱり、根づくりが大切ですよ。糖力アップやリン酸の『鈴成』や『コーソゴールド』も大事ですね。今年からは、『海王』もやりますよ。マジ鉄も楽しみですね。これからも、お世話になります。」と、にこやかに話してくれました。

 最低限の窒素で、地力やホルモンの力を使って安定的な栽培を目指す。低投入、高品質・安定生産。これからの時代に必要な、異常気象、天候不良のリスクに強い農業の考え方ですね。さらには、できるだけ草や虫と共存する環境保全の考え方。こういった農業の考え方が、これからもっと普及していけば、日本の農業は、まだまだ面白い方向に行くように思います。これから柑橘栽培を目指す若い農家には、ぜひご参考にしていただきたい園地でした。

IMG_1542.jpg一見して肥料が少ないのが分かる葉色。
IMG_1550.jpg来年の結果母枝もしっかり出てきている

IMG_1546.jpg
IMG_1579.jpg葉は淡い緑でも、果実は濃いグリーン。窒素が少なくても、ホルモンが効いている。肥大性もよい。

原口・佐世保温州 マルドリ栽培圃場

IMG_1626.jpg7月上旬には被覆してドリップチューブで潅水するマルドリ栽培の日南(極早生種)
IMG_1629.jpg

IMG_1656.jpg
IMG_1676.jpg

この記事で使用した商品

微生物土壌改良資材「菌力アップ」

微生物土壌改良資材「菌力アップ」

土壌環境を改善し、有機物を強力に分解する土壌善玉菌を厳選して配合した微生物資材です。

植物酵素入り活性液肥「コーソゴールド」

植物酵素入り液肥「コーソゴールド」

植物酵素と発酵リン酸の働きによってリン酸の吸収がよく、果菜類の食味や品質向上、馬鈴薯などの根菜類の肥大、苗の徒長抑制、生殖生長の促進など様々な効果があります。

強力アミノ酸液肥「糖力アップ」

強力アミノ酸液肥「糖力アップ」

植物の生育を強力にサポートするアミノ酸やミネラルを豊富に含んだ有機液肥です。

有機酸カルシウム「本気Ca」(マジカル)

有機酸カルシウム「本気Ca」(マジカル)

葉面散布することにより、カルシウム欠乏を効果的に予防し病害虫抵抗性を高めます。 果樹や 果菜類の品質向上、糖度・食味の向上にもおすすめのカルシウム資材です。

高級発酵リン酸有機肥料「鈴成」

高級発酵リン酸有機肥料「鈴成」

100%有機原料で、微生物の利用によりリン酸とカルシウムの肥効を高めた肥料。病気に負けない強い生育を助けると同時に、果実等の充実、品質向上、収量アップにも大きな力を発揮します。

キーワードを入力してください