イチゴ栽培 初秋の高温でもしっかり花芽をつける対策

温暖化による秋口の高温がイチゴに与える影響

 近年は、温暖化の影響か夏の暑さが、遅くまで長引く、いわゆる厳しい残暑の影響がイチゴ栽培でよく見られます。夏の暑さが9月、ひどい時には10月まで続いてしまうので、多くの果菜類栽培農家を困らせています。イチゴでは、定植期前後の気温が高すぎるという問題です。

 熊本県で「ゆうべに」という県独自の優良品種の栽培に取り組んでいるHさんもその課題に悩む一人です。昨年の残暑は、イチゴ農家にとっては非常に厳しい条件でした。

 熊本県の10月の平均気温(過去30年)は25.1℃であるのに対して、昨年の10月の平均気温は26.1℃でした。つまり、平均1℃も高かったということですね。植物にとって平均気温が1℃違うというのは、ものすごい大きな影響があります。

 特に促成栽培のイチゴでは、8月から花芽分化を始め、秋の間に2番花、3番花と、次々と花芽分化をさせなければなりません。気温が高いと、どうしても生理が栄養生長に傾き、花芽が安定しない、または花が来ない(飛ぶ)という事があります

 Hさんより、昨年10月中旬にご連絡いただいたとき、やはり高温の影響でかなり生育はかなり厳しい状況でした。

温暖化、高温で「2番花が飛びそう」

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10月20日時点の様子
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例年より矮化し、かなり生育が悪い

特に「ゆうべに」という品種は、花が強く大きい特徴があり、その代わりに花が飛びやすい品種です。写真の通り、高温の影響で、草勢も根の状態も、弱いように感じられました。

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 「このまま行けば、2番花とか3番花が飛ぶ感じなんですよ。なんとかならんでしょうか?」

 そこで、すぐさまサンビオティック資材の活用をお勧めしました。実は、Hさんは周りの農業仲間のトマトやイチゴ農家さんから、サンビオティック資材の良さを聞いていたので、「早速試してみたい」と、とても話が早かったのでした。

 菌力アップ、糖力アップを組み合わせて、毎週潅水して草勢をつけると同時に、コーソゴールド、マジカルやマジ鉄、そして海王を、何度も葉面散布しました。窒素を吸収させながら、しっかりと消化(同化)させ、厚く強い葉を作りながら、安定した花芽を作るため、下からと上からと、同時に攻めていきます。

高温によって植物が消耗する原因とその対策

 高温対策と言っても、もちろん様々な対策が考えられます。ハウス内の温度を下げるために、寒冷紗を使用したり、換気、通気をよくすることも大切です。水やりのタイミングや、ミスト(細霧)を利用した対策もあると思います。

 そのような温度そのものを下げる対策は、設備や予算によっても限度があることともいます。それ以外にできることは、やはり高温による植物体そのもの消耗を防ぐ事でしょう。

 そもそも、なぜ高温によって植物が消耗してしまうのか、すこし解説したいと思います。

 それは、単純に言って糖=エネルギーの不足です。

 植物は、ご存じの通り、光合成によって糖を作り出し、その糖をエネルギー源として、また細胞壁の材料や、栄養素の原料として使用しています。つまり、糖が植物の生育レベルや作物の品質を決める最大のキーとなっています。

 糖が多く生産でき、かつ蓄積できるほど、植物は生き生きと元気で収量が増え、病害虫に強く、作物も美味しく、品質が高くなります。良いことばかりです。

 逆に、糖が不足すると、弱々しく、収量が落ち込み、病害虫に弱く、そして作物が美味しくありません。

 ですから、糖が減少してしまう、蓄積しにくい環境といのは、極力避けなければなりませんね。

 ここで問題となるのが「高温」です。
 実は「高温」は、大切な「糖」を消耗させてしまう大きな要因の一つなんですね。

 それはなぜでしょう?

 その理由は、いくつかありますので、あげてみましょう。

 ①夜間は、光合成ができず、呼吸によって糖を消費していますが、温度が高いと呼吸活性が高くなり、糖の消費量が増える。

 ②日中温度が高いと葉からの蒸散と根からの吸水のバランスが崩れ、水分ストレスが掛かりやすく、気孔が閉まり、日中の光合成量が低下する。

 ③冬から春にかけて生育する作物では、もともと強い光に弱いため、葉や根が直接高温になることで熱により細胞が壊れたり、または強い紫外線などで葉の中で活性酸素が許容量をオーバーして発生することにより、細胞が壊れたり、強い光ストレスにさらされて光合成が低下しやすい。

 ④地温が高くなると微生物の活性が高まるため、肥料成分のアンモニアやたんぱく質などが、分解・酸化され、硝酸態窒素に変化しやすくなる。土中の硝酸態窒素が増えることにより、植物にはより多くの硝酸態窒素が吸収される。硝酸態窒素は、体内で糖と結合してたんぱく質を合成するが、その時に多くの糖を消費してしまう。(エネルギー源として、また材料として。)元肥の施肥量が多い畑、また薬剤による土壌消毒後の乾土効果により、その傾向が強くなる。

 このようにざっと考えるだけでも、複数の要因が絡み合って、樹勢、草勢が弱くなってしまうという事があるわけです。

 しかし、原因が分かれば、対策も立てやすいというものですね。上記を踏まえて対策を考えると、
土づくりや施肥の観点からは、次のような対策になるでしょう。

 ①元肥の施肥量を削減、または省略し、初期からの窒素施肥量を抑える。

 ②無機窒素肥料(アンモニア、硝酸)よりも、アミノ酸態、有機態の窒素を施用し、最低限の窒素は供給する。

 ③バランスの良い土壌微生物環境を作り、健康な発根促進と、適度な窒素循環を実現する。

 ④光ストレスに強い生育を促すため、リン酸やカルシウム、微量要素をしっかりと供給する。

 ⑤糖の不足を補うため、酢酸やクエン酸、または発酵糖類などの資材を潅水し、吸収させる。

 ですから、サンビオティック資材では、まず菌力アップや糖力アップで②③を対応し、③④はコーソゴールドやマジカル、マジ鉄などを活用することになります。⑤はイーオスですね。

高温対策の結果に喜び

 さて、Hさんにサンビオティック資材をご活用いただいて3か月ほど経過しました。ちょうど2番花、3番花の様子も見られるころです。さて、あの弱々しいイチゴはどうなったでしょうか。

 ハウスに入るなり、芳しい素晴らしい香り。生き生きと、ツヤツヤと美しく生育するイチゴたち。

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11月19日時点の様子
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厚みのある葉、大きな花

 結果は、素晴らしいものでした。以前とは、まるで違う畑のように、しっかりとした葉、そして大きな花がしっかりと咲いていました。大成功ですね。

 久しぶりにHさんの圃場をお伺いし、驚きました。本当にあの弱々しいイチゴはどこに、というくらい素晴らしい生育をされていらっしゃいました。

 Hさんも忙しい層に働いていらっしゃいます。

 「その後、どうですか?」とお聞きすると、

 「お陰様で、本当によくなりましたよ。あれから(サンビオティック資材をやってから)1か月で、様子がガラッと変わりましたよ。収量も良いですよ。この冷え込み(1月中旬)が来るまでは、毎日250ケースは出てましたし、今もほかの皆さんよりよく出てると思いますよ。いま、もう3番花も来ていますよ。やっぱりすごいですね。ほんと良かったですよ。」と嬉しそうでした。

 原因を知り、対策をする。基本的なことですが、大切なことだなと思います。

 温暖化で植物の管理は、よりきめ細やかな配慮が必要になってきていると感じています。皆さんも、ぜひ暑さに負けない栽培のヒントにしてみてください。

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